人類解放/佐々宝砂
 


人類はクルウル様の恩恵に与って生きています
毎朝支給されるパン
毎昼支給されるお粥
毎夜支給される一汁一菜の食事
衣服も住居もクルウル様がお与えになります
去年は下着を2枚も頂きましたし
私のベッドは寝返りできるほどに広いのです
なんと私たちは幸せなのでしょう
クルウル様に感謝しなくてはなりません

リサイクルもクルウル様の恩恵です
リサイクルされないものは何一つありません
もちろん人間だって例外ではありません
明日の朝私はリサイクルされる
私の血や肉は他の人々の血や肉となる
なんという歓びでしょうか
もしかしたら
クルウル様の血や肉となる恵みを賜るかもしれません
それは大きすぎる望みではありますが

人と生まれた以上
誰しもが夢みることではありますまいか

   グループ"Poem room of Arkham house"
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