前進<18のprose-10->/ウデラコウ
そこには 僕が誰にも見せずに 吐き捨てたものが詰まっていた
黒くて ドロドロで 奥行きさえ掴めないような
終わりのない闇
そうだ 見て見ぬふりをして 積み上げてた
君が キレイだねって 誉めてくれるのが 嬉しくて
高く 高く どこまでも
遠くにいる君にも すぐにわかるように
僕はもう一度 散らばった積み木を集めなおす
時期はずれのミッキーマウスはそれを黙って見つめる
全部集め終わった後
君が忘れた 青いライターを取り出して
静かに火をつける
やり直しじゃない 先へ進むんだ
独り言のような そのコトバに
世界一有名なネズミは 何よりも大きく頷く
僕はその様に そっと微笑むと ライターごと静かに闇の中へ投げた
瞬く間に 火は回り 僕の前には鮮やかな朱の柱が立つ
その朱を見つめながら 僕は
君に新しいライターを買ってあげることだけを 考えていた
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