クリスタル・イヴ/千波 一也
 
れるのは
ひかりの先とその背中

海が
やさしく富むように
かなたは円く
見渡せない

隣り合う者の
ひとみを受け取ることだけを
唯一かなえて
安らいで


もうじき
雪が降りてきたなら
わたしはあなたを
また見失う

円く
しずくが
寄りあつまって
個々の時計を
狂わせる

なだらかな鋭角の
微笑のなかで


限りのある熱を
まよいのない物語を
告げ終えるまで
ずっと
きっと
そばに

計り知れないものになど
なれなくていい

透けて
すべては
ひとつになるから








   グループ"【きみによむ物語】"
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