妖精の森/未有花
処女(おとめ)はその森に入ってはならない
森に入ればきっと出会ってしまうだろう
そして血よりも紅いその薔薇を手折ってはいけない
薔薇を手折ればきっと恋に落ちてしまうだろう
それはたぶん好奇心なのかもしれない
未知なるものへの恐れと憧れ
いけないと言われるとなおさら
その禁を破ってみたくなるものだ
ささやかな抵抗を試みるために
私はその森に入ってそして出会ってしまった
これが運命でないとどうして言えるだろう
血よりも紅い薔薇を手折った私は
たちまちあなたと恋に落ちた
蜂蜜色の髪と新緑の瞳をしたあなたからは
森と風と光の匂いがした
あなたは妖精
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