竹想花伝/朱雀
翠(すい)の竹生(たかふ)に月夜影
稲穂に似たる紫は 二目と見れぬ稀有な花
最期の時を飾らんと 今を盛りと咲き満つる
風も無き夜に竹葉(たかは)が騒ぎ 月花に浮ぶ舞姿
『汝 仕舞のこの際(きわ)に 何を覓(ま)ぎて此処に立つ』
葉音の影の問い声に
答(いら)え代わりの移舞(うつりまい)
虚仮(こけ)の一心 仕似(しに)せるほどに
透影(すきかげ)の中で孛(ひろこ)へり
和魂(にきたま)宿らせ女(おな)となり
鬼を宿らせ鬼魅(きみ)となる
神に 修羅に 狂人(たぶれびと)にも成り変り
舞いて 舞いて 花を知り
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