記憶なき詩に唄う(一)/
し ん
眼球の瞳孔に厚い膜を張り詰めて
下界から自身を遮断すれば
仄暗い靄に包まれた視界
赤橙色はくすんだ山吹色
些か綺麗な気もするが
疲れたからしゃがみ込んで
誰か待つような背中で
霞んだ夜空を
焦点のままならない視力で羨む
わたしの慟哭が
夜色に染まり響いた
わたしの慟哭が
夜色に吸い込まれ消えた
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