無限/なかがわひろか
昨日久々に出会った無限は
疲れ切った顔をしていた
巨大な影を携えて
途切れ途切れの息でこう言った
歴史はどんどん積み重なるだろう?
例え世界が有限であったとしても
時間は永遠を作り出してしまうんだ
いつまでも終わることのない無限は
そう言ってまた途方に暮れた
ほらまた影が大きくなりやがった
重くて重くて敵わない
誰か代わってくれないか
そう言っている間に
また影は大きくなる
誰も代わりになろうなんて思わないさ
君は皆の憧れなんだ
有限の者には君は神よりも偉大なのさ
また大きくなった影を携えて
これ以上暮れようのない途方顔で
また今度
そう言って無限は去って行く
(「無限」)
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