その昔のお話/なかがわひろか
あの頃私はとても美しく
全ての世の光は
私だけを照らしていることに
誰もが疑問を持たなかったのでした
世の人々は
私の影でしかありませんでした
全ての人々は
私の元で繁栄しました
輝きとは永遠と
皆は思っていたことでしょう
美とは私のことだと
誰もが疑わなかったでしょう
私はいつまでも
光り続けました
私は
ただ光を受けているだけでしたが
皆はそのうちに
私を光そのものと、思うようになりました
全ての世の光は
私だけに向けられていたのです
いつしか私の影である人々は
誰が本物の私の影なのか
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