棚織津女の一夜/なかがわひろか
 
星の洪水で空が溢れそうな夜
私はまだ穢れのない身体と共に
あなたの衣服を織りながら
あなたに添うことを思います

機小屋の周りには村人が火をたいて
私が逃れられぬよう夜通し見張ります

逃れることなどありませんのに
私はそのように育てられたのですから

あなたは前触れなく突然私の元に現れます
然れど私は驚くことはありません
こうなることは幼き頃よりの決まりですから

私は村の老女に教わった
ありとあらゆる技をあなたに施します

あなたは快楽の中で何度も私を呼ぶのです

一つ快楽を与えれば
一つ災いを
二つ絶頂に誘(いざな)
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