歌うきみ/銀猫
一瞬
ふたりの思惑は重なって
短い沈黙が生まれる
幾度触れても
求めたい唇に
一度は小鳥のように
二度目は
シェイクの最初の一口の強さで
触れる触れる
飲み干す
背に当たるスプリングの音が
やがて
先を急く舟となり
思惑通りか
冒険か
大きなうねりに向かってゆく
(あなたの繊細な狡賢しこさが欲しい)
(きみの我慢強さに挑むさ)
ぼんやりとした焦点が
やがて闇の曖昧の中で
小さな光の点となり
ぼくらは
そこを無言で目指す
きみを歌わせたいんだ
とても歌わせたいんだ
おしゃべりでは聞けない声で
ぼくが歌わせたいんだ
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