野良猫の死骸/HARD
一匹の首輪もない野良猫が死んだ
道路で車に撥ねられた
血は既に乾き 赤い染みのよう
その猫は
必死に捨ててきたのだ
あるいは
必死に守ってきたのだ
そして最後がこれだ
この死に様を
嘲笑うのか 悲しむのか それとも尊敬するのか
それは人それぞれというものだろう
独り立ちしていたその猫の
親はまだ生きているだろうか
生きていたとしても この悲報を知る事はないだろう
雄か雌かわからないその猫に
子猫はいただろうか
いたとしても とうてい見つけられるはずもない
嘲笑うのか 悲しむのか 尊敬するのか
野良猫の死骸の横を
人間の紐に繋がれた犬が実に何気なく歩いていく
その猫の死に顔は表情がない
守っているのだろうか
捨て去ったのだろうか
死に対しての感情を
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