四行連詩 独吟 <星>の巻/塔野夏子
 
   *

いくつもの銀河から 星たちが
使者のように 集まってくる
宇宙の傷口に沿って並び
祈るように 光を放つ

    *

光の罅
風の棘
水の傷
花の刃

    *

白い丘の上に紺色の樹
それに銀色の月がいくつも実っていて
水色のリボンで髪を束ねた少女が
背のびしてそのひとつに触れようとしている

    *

背中ばかりが行き交う街路を
空からひとつの大きな眼が見おろしている
沈黙を乗せて廻る観覧車は
孤独を戴く鉄塔と向かい合う

    *

小さな待合室では
壁の掠れた時刻表が微笑し
椅子たちの沈黙が満ちる
窓の外を 幻の青い列車がゆき過ぎる

    *

青い星座盤をくるくると回して
君は云う 「何処へ行こう?
何処まで行こう?」 君の身体から風が吹く
何処までも 何処でもない場所へと――





   グループ"四行連詩 独吟"
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