【創書日和】鼻息荒くつめを切る/茜井ことは
 
どうにもならんわ
ため息でとばした怠惰
過眠のさなかに溜められた
暑い呼気に目眩を起こす


汗に揺られながら
夢のはしばしで
けだるさの正体を占った
額のニキビをうっかりつぶしたせいで
答えは無意識の中に置き去りだけど


シーツに染みた人型を
爪ではじけば
吹き抜けてきた涼風が
後ろめたさを少しずつ軽くしていく


せみしぐれがもう一度聞きたくて
開け放した窓を閉められない
ふらつく体に力をこめて
立ち上がる視線の先では
夕立ばかりが猛威を振るっている







   グループ"創書日和、過去。"
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