創書日和「夜」 秋のはじまり/ゆうと
窓からさしこむ光が
なんとなく紫色だったので
空を見てみたら
すっかり桃色になっていた
チョコレートを砕いて
ほおばっていた
飲み込む紅茶がすこし
甘くなっていた夕暮れ
秋の虫の音も
ぜんぶ
ぜんぶ
きみもまじって
ぜんぶ
ぜんぶ
とけてゆく
とけてゆく
そんなふうに
かみさまは
あっという間に
暗くして
夜にする
そして
秋にしてしまうのです
それを
目撃したぼくは
ぼくの
アリバイとなって
自由になるのです
今よりいっそう
羽ばたけるのです
きっとそう
きっとそうなんだ
きっとそう
きっとそうだけど
だ
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