創書日和「鳥」/虹村 凌
ドよりも高さよりも宙返りの角度よりも
重要なのは着地
着地
着地
鮮やかな着地
二本の足で着地
もう一本の足は宙に浮いたまま
ネガティブクリープ
ドラマティックテンション
セットアップ
クライマックス
そのくちばしに小指を咥えて
メランコリックな角度で飛んで
きりもみしながら飛んで
飛んでいく
薄いコーヒーに戸惑う
一晩中心配しても泣いても意味が無い
そのまままんじりともせずに朝を迎える
狂った朝の光の様に
飛び立つベランダ
デサチュレイト
ペニーロイヤルミルクティー
ネガティブクリープ
届けるのさ爪を
狂った朝の光の中で
素晴らしいこと
モノクロームになりながら
千切れる
声がする
雨ざらしのチャイルドシート
綿埃の中のスニーカー
咥えたまま落ちる
くちばし
きりもみしながら
モノクロームになる
三本目の足はまだ着地出来ずに
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