創書日和「神」/虹村 凌
 
神様を信じない俺が好きな女は仏教徒で
少し鳩胸の変な女だった

その女は金色のマルボロを吸っていて
根元まで吸わずに半分くらいで消してしまう女だった
その女は勢いでメイド服を買って
可愛いと言われて服を脱いでしまうような女だった
その女は洗いたての髪にキスをすると
本気で怒ってそっぽを向くような女だった

その女は少し鳩胸の変な女だった

その女は新宿の薄暗い喫茶店の真ん中の席で
暖かいコーヒーとトーストを千切りながら食べていた
指を拭くものが無いと言うので
少しよれたハンカチを出すと
格好悪いねと言って少し笑った
女は煙草を分けてくれと言って
セブンスターを一
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