記憶の断片小説続編・ロードムービー「卒業」/虹村 凌
 
に預けた真意はわからない。
ただ、彼の周りには適任者が俺しかいなかっただけだ。
彼もそう言っている。確かに誠実だったかも知れない。

 こうこうを卒業してしばらくたった。
俺が舞子と会うのは何回目か、正確な数は知らない。
確か昼過ぎだったか、待ち合わせをした。
うっすらと冬の寒さが残る空を、春の太陽が照らしているような、時期だった。
駅前の商店街を散々散歩して、たこ焼き喰ったりして、遊んでた。
俺はその日、舞子を俺の部屋に連れ込むつもりでいた。
だが、祖母と俺が住んでいたその部屋に、たまたま母と妹が来ていたのだ。
母は祖母と出かけたが、妹はまだ家にいる。
妹自身も何か用事が
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