給水制限の朝(Mr. チャボ、正義と友情と愛とナントカと)/角田寿星
 

雨は降らなかった 猛暑だった
埃っぽい早朝だった
突然のはげしいノックの音に眼をこする
ふあい なんか事件っすかあ 立ち上がりながら
生あくびひとつ 鍵は開いてますよお
次の瞬間 ドアノブが壊れそうな
いきおいで回って

青ざめた怪人サボテン男が顔をのぞかせる
ぼくは背中をぽりぽり掻いている

「どうかたすけてください」
絞り出すように話す怪人サボテン男は
先週の決闘の痕も生々しく
頭と両腕に包帯を巻いてて 首にはカラー
(そうだ 町内ガマンくらべでぼくに負けて倒れた時に
 火鉢に激突しておでん鍋に腕を突っ込んだんだっけ)
両眼もまだ渦巻き模様のまんまだ

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