永遠ということ/恋月 ぴの
本当の暗闇と出会う
それって
なかなか難しい
ひとつひとつの灯火を消しても
寝付けぬ夜に何処より話し声が漏れて
この街の闇は仄かに明るい
本当の暗闇
それは遠い日の感触
胎内にいたときにでも
わたしはそいつと出会ったのかな
でも
母の身体より受け継いだ血縁に導かれ
最初に出会ったのは
外界に溢れる光線のざわめき
本当の暗闇
手探りで何かを掴もうとしても
掴めなかった
それは感覚だけが頼りで
時の流れさえも見失ってしまう
わたしの暮らすこの街で
満天の星星と出会うのが難しいように
本当の暗闇と出会うのは難しい
鋭敏となった五感で掴むもの
この耳を澄ませば聞こえてくる
聞こえてくる
遠い日に出会った
本当の暗闇が奏でるノクターン
甘く切なく
それでいて
全ての止んだ五線譜の彼方へ
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