見えない力/
恋月 ぴの
わたしが生まれ育った郷里では
要らぬものを裏山に投げた
村外れを流れる川に流した
囀る野鳥の気配に誘われて
ひとり裏山を彷徨えば
要らぬものは朽ちて土となり
夕餉の支度でも始めたのか
潜水橋から川面を覗けば
鶏の羽が流れに踊る
不要とみなすは人の業
無常と嘆くも人の性
あるがままにあるばかりで
要るものと要らぬもの
巡る季節に茜は駆け下り
渡る世間は竿先ひとつ
明日は我が身と知りつつも
鳥鍋囲んで湯気に酔う
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