こころの力/恋月 ぴの
 
秋が訪れれば またひとつ
目じりに刻まれる年輪のようなもの
早いもので開け放した窓の外では
秋の虫たちが鳴き始めている
この様に季節が巡るのであれば
歳を重ねてしまうのも致し方無い事
抗っても隠し切れない過ぎし日々の痕跡を
湯船の中で取り繕ってはみても
湯上りのひとり寝は
かさかさと乾いた身体を蝕んでゆく
(ひと肌恋しいわけじゃなくて
衰えつつある身体のあげる悲鳴よりも
夜窓を渡る音色に耳を傾けていよう
わたしにとって許しがたいこと
それは我が身に感じる衰えよりも
こころが朽ちてしまうこと
忘却はこころを癒すとしても
わたしには忘れたくないものがある
そして沈み
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