いつか旅する日/石瀬琳々
 
よく通る口笛ひとつ風道に草の穂ゆれるいつか旅する日


風あかるい野は海の底くちづける花のあわさに惑う光を


過去(すぎゆき)はさびしさ抱きけれどただ慰めるうた風と聞こえて


ゆうべみた夢にさまよいこの朝も抱きしめる風あなたの吐息


果ての空飛び立つ鳥はいつか見た透過する青永遠へつづく


ふるさとは風に吹かれてそこにある記憶の窓のゆびを伸ばせば


忘れては上ってゆくか赤い花ひとつこぼれて冬のきざはし


君に似たいとしさだけが、風花に心とけゆく冬を知ってる


(なつかしいうたをうたって)風道に遠くまなざす瞳ははるか





   グループ"薊道"
   Point(2)