岸辺にて/石瀬琳々
 
君は舟でわたしの岸に逢いにくる瞳のおくの蒼いみずうみ


思いだけが水脈(みお)引いてゆく水の上恋すればただ紅葉はあかく


言葉さえさらわれてゆく風の街耳から耳へささやかれつつ


いつかまた口ずさむ歌やがてまた街はたそがれ秋風のなか


黄金に銀杏は燃えて月に日に降り積もるゆめ日々は過ぎゆく


夜明けに、二人だけの星生きてゆく鼓動がいつも胸にかがやく


ぼくたちは夢を見ているカルーセルゆられゆられて世界の果てへ


いつの日かめぐり会う旅野を走る風を分けゆくなつかしい馬


みずうみに鳴る鐘の音岸辺にて幾夜を君のくちづけを待つ



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