小詩集【ちいさなてのひら】/千波 一也
 
って
休むことなく呼んでごらん
そういう類のわがままならば
世の中を溢れても
構わない、と思う
みんな同じなのだから
懸命に
許し合えるはずだと思う

この手は
いま此処にいる

意味するところはただ真っ直ぐに
この手は
いま此処にいる

それだけ確かに届けばいい




二、ちいさなてのひら

てのひらには
てのひらがあって

そのてのひらには
さらにてのひらがあって

ちいさなてのひらは
どこまでもさがしてゆける

かわいた てのひら
つめたい てのひら
ぬくもる てのひら
しめった てのひら

ちいさなはじまりが

[次のページ]
   グループ"【こころみ詩集】"
   Point(18)