星の話その他/ふるる
 
う難しいことを
簡単にしている人々
もうあまり思い出せない

あの人 とつぶやくと
呼ばれた気になって帰ってきてしまうから
あの だけで止めておく
朱色の夕日の中
ひと は夕日に託す

哀しくなって止めてしまう

春に咲く花の匂いはとてもささやか
なのにはっきりと思い出されてしまうことがある
けれどそれは
去年や一昨年の輪郭を
持っていない

苦しいや哀しいその他
何番目かの新しい言葉を
階段をのぼるように
知っていくのに
名づけることは止めてしまう

夏の道の途中で
いつまでも砂埃が立っているので
いつまでも向こうが見えない
向こうには入道雲
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   グループ"□□□抒情詩っぽい□□□"
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