黒き王子のアリア〜架空オペラ「オルノーコ」より/AKINONA
 
イモインダ、イモインダ!
王家のヴェールを纏った処女(おとめ)よ
黒い肌の美しき姫君
夏の草原の汚れなき秘宝
アフリカの海の様に波打つ豊かな髪に
小さく鮮やかな宝石が綺羅星の様にちりばめられ
黒く艶やかな肌一面には
色鮮やかな花々の文様の入れ墨
厚みのあるふくよかな唇は
我らが崇める灼熱の太陽の様に熱く
優しく口にふくめば果実のように甘く滴る
イモインダ! コラマンティエン王国の黒き娘よ
人は我々を蛮族と嘲り、罵りそして嘲笑うだろう
だが私はこうして歌う、野蛮な剣を打ち捨てて
この誇り高き喉を震わせ
この燃える舌の上に迸る情熱を乗せて
夜の闇、静けさ、若さ、愛、欲望という
人が息づく生と悦びの全ては
ことごとく「黒」の中から生まれるものだと


英国女流作家アフラ・ベインの作品
「オルノーコ やんごとなき身の奴隷 Oroonoko, or the History of Royal Slave(1688)」より

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