暗い日曜日/六崎杏介
で喪に、メメントに背に臥せ叱咤され狂った鴉の硝子の眼に雨が
振ると同時に引き裂かれフルートにルルドの奇跡を囁かれ一滴の些細な飛沫の
涙としての雨を辞すと私の眼球はアメジストと成り、だとしても孵らぬ卵の中
の私の形有る少女や悲しみの轍を歩く籠の中のカナリヤの声を聴きながら雷の
あまりの轟音に怒りや徒労感を手鞠にされ、途方に暮れて私は裸足で傘を差し
たと思った、外は明るい陽が差す丁度正午の鐘の音だった、アトリエの彼方で
私が底冷えに震えているから、裸足に厚底のブーツを履いて迎えに行かないと
私の画家が凍る前にコールしたから私の肖像画・アルコールを持って旅立つ。
私にペニスが付いていたが、何かの間違いだと思った。
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