そこにあるもの/プル式
 
大きな翼で空を舞う君に届けと祈った。
空は緑色に深くはてしなく深い。
まるで森の様に茂る空と雲が広がり
君のその手に握られた小さな命を奪わんとする。

君はもがきながらその翼を雲に絡め獲られ
その大きく広げた体は恐怖に打ち震え
まるで君自身がその手の小さな命の様に。
まるで世界をその目で初めて見るように。

翼の無くなった君は静かに地上に落ちた。
体中に傷をおいながらそれでもしっかりと
背中には大きな翼の痕を背負いながら勇敢に
その足を大きく踏みしめて地を掴みながら。

ある日君の元に懐かしい風が吹き
君はまるで昔の様に空を飛ぶ事を夢見る。

しかしその背にはも
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