盲愚螺/プル式
 
その時モグラは変だと思いました。
目蓋をつたう涙を止める事が
出来無かったからです。


彼はその土を一生懸命に
生きがいをかけて
まっすぐに掘り進んだと
心の底から信じていたのでした。

けれどもその一生を終える
最後のひとかきをかいた時
なぜだか懐かしい
しかしとても悲しい光が
彼を包みました。

ここが天国なのだと思いました
しかし彼は再び真っ黒な
本当に真っ黒な
とても静かで温かい安らぎに
包まれていったのでした。

そしてこれこそ本当に天国なのだと
彼は心の中でつぶやきました。

モグラは泣いている様な
笑っている様な
不思議な
しかし
とても幸せそうな
顔をしていました。
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