盲愚螺/プル式
その時モグラは変だと思いました。
目蓋をつたう涙を止める事が
出来無かったからです。
彼はその土を一生懸命に
生きがいをかけて
まっすぐに掘り進んだと
心の底から信じていたのでした。
けれどもその一生を終える
最後のひとかきをかいた時
なぜだか懐かしい
しかしとても悲しい光が
彼を包みました。
ここが天国なのだと思いました
しかし彼は再び真っ黒な
本当に真っ黒な
とても静かで温かい安らぎに
包まれていったのでした。
そしてこれこそ本当に天国なのだと
彼は心の中でつぶやきました。
モグラは泣いている様な
笑っている様な
不思議な
しかし
とても幸せそうな
顔をしていました。
前 次 グループ"頭のなか"
編 削 Point(7)