遠い夏/LEO
僕が生まれた頃
空は今よりもうちょっと身近にあった
雲はいろんなものをカタチ作るから
それだけで面白かったし
行き先も告げずに日の暮れるまで遊んで
「烏が鳴くから帰りましょう」と手を振る毎日
デパートに並ぶカブト虫なんて想像もしなかった
コーカサスオオカブトだとかヘラクレスオオカブトだとか
図鑑の端っこにあったのかどうかさえ覚えていない
ギラギラの太陽の下を歩いても
エアコンが恋しいとも思わなくて
てんこ盛りのかき氷を
ばあちゃんが「はいよ」って縁側に置くから
頭をキーンってさせながら
溶けちゃう前に食べないと
スイカは畑で昼寝して夜に井戸に冷やされて
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