早春小景/
塔野夏子
きらびやかな空が 剥がれ落ちて
菫の咲くほとりをたどって
指たちの
踊る環
ひとつ
ふたつ
みっつ
やわらかな綻びから
洩れる調べの
それは さよなら という言葉の
すずやかな輪郭にも似て
誰が いつ どこで
窓を開けたら
景色をゆっくりと融かして
銀いろの影を
こわさないように
――雨
回廊から露台へ
しずかなつまさきの
淡く眠る ひととき
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グループ"春のオブジェ"
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