四月蝕/
塔野夏子
四月は斑に
私を蝕する
陰鬱な雨と
あまりにもかろやかにあかるい陽射しと
半透明の眩暈に
浸されながら
通草(あけび)が咲く藤が咲く
咲くものは数多あり
夢みるものも また
けれど
斑に蝕され
そこを風が吹き抜けるいたみを
何で覆えばいいのか
まだわからない
わからないうちに
四月の果てに
うっすらと扉が開いて
やがてはそこから
猛々しいほどの緑の風が吹き込んでくることを
咲いてしまった夢をみながら
待っている
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グループ"春のオブジェ"
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