空一輪の緑の火/英水
も。」
などと平凡な答えをしそうになったが、それを聞いた人々を、
(ああ、ヤドリギになってブラブラしたにもかかわらず、それしきのことしかいえないのか)
などと失望させることも忍びないので
「人にとどまる必要などないのだ」
なんていってみる
すると、様々な方向からフラッシュがたかれるのだった
ヤドリギになってみると、これはこれで退屈であり
それはただ宿っているしかないからなのだ、ということなのだが
実は僕が悟ったことなど、これしきのことしかない
「ヤドリギは退屈」
ただ、ヤドリギになってみないとわからないこともあるわけで
次に生まれ変わるとしたら、トップモデルにでもなりたいもんだなぁ
妄想だけがどんなときもトップランナー
そして見下ろす街は
ああ、今日も暮れていく
みんな手に手に新聞を持ち、今日も私を見上げてる
夕刊の見出しには、こうある
「スーパースター・ザ・ヤドリギ
百舌呑込んで 空に一輪の緑の火」
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