ポエム派宣言1「詩のわかりにくさ」/佐々宝砂
本論にうつる前に、まず文章についての私の考え方の一端を述べたいと思います。私は、たいていの主題はわかりやすい文章で書くことができると考え、わかりにくい文章に出くわしたら、執筆者の腕が悪いのではないかとひとまず疑ることにしています。念のため言っておけば、腕が悪いのではなく、主題自体が本質的にわかりにくい場合もありますので、ひとまず「疑る」だけです。私は、わかりにくい文章を楽しむことも好きです、そういった文章を否定するわけではありません。
しかし、考えてみてください。あるとてもわかりにくい主題―――たとえば量子力学理論―――を書く場合に、ややこしい数式や定義を使って理系大学生にしかわからないよう
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