冬眠の前のささやかな儀式について/大覚アキラ
十二月
凶暴な北風が
アイスピックのような鋭利さで
ちいさな子どもたちの目を突き刺して
後頭部から抜けてゆく
視力を奪われた子どもたちは
公園の砂場に集まって
花火を上げる
真っ白な光の中で
銀色の閃光が空々しく弾ける
一斉に飛び立つ
鳩の群れ
捨てられた子犬が
爆発音に驚いて逃げていく
すべてが寒色系で塗り潰された
限りなく冷ややかな風景
寂しがり屋の通り魔は
公園沿いの道に
銀色のポンティアックを停めて
口笛を吹き鳴らす
口笛にあわせて
つまらなそうに踊りだす子どもたち
雪が降る
もうすぐ雪が降るよ
空はまぶしいほどに
白く光っていた
十二月
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