夜と私/まどろむ海月
れたらどうだい
なんて また きついことを言ってしまったものだ
夜は 黙ってしまい 恨めしそうな顔をすると
いきなり 突っ伏してしまった
そして うっう おっお と 声を抑えて
嗚咽(おえつ)しているのだった
えらいことになってしまったなあ と
驚くばかりで 慰めかねていると
いきなりあたりがまぶしい光に包まれて
その中に 一りんの白百合が咲いている風景が見えた
まばゆい光が凝縮していくと それは白い梟の姿になって
夜空に消えていった
夜も哀しみの 感情を湛えたまま 姿を消した
そうか あの夜の恋人は あるまばゆい朝 だったのか
あの夜は もう 二度とは帰って来なかった
夜にだってプライバシーはあるのだから
あんなことは聞いてはいけなかったのだ
夜は心が痛くて 毎晩僕のところに来ていたのだ
それが 今は切ないほどわかる
遠い日のオパール色の憧れ
あの白梟は 私の妖精に
不思議に似ていた
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