童話(サボテン)/
たもつ
父はサボテンでした
とげはありませんでしたが
サボテンでした
水を蓄える仕組みがあるわけもなく
少しの水では生きていくこともできませんでした
ましてや荒野に一人
じっと立っていられるほどの
忍耐力も
誇りも
孤独も
持ち合わせてはいませんでした
それでも父は
ひとつのサボテンであり続けました
サボテンであることの
すべてを否定することによって
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