ふわり感じるもの/恋月 ぴの
 
春は優しい素顔を何処かに隠し
コートのすそにまとわりつく
うつむいて
泣きべそかいているのは誰のせい


そんな街の片隅でも確かに芽生える
やるせない泣きべそ顔の奥で
見つけたもの
よわよわしくても確かなもの


裸ん坊の木立よりも陽が高く昇れば
涙を拭う てのひらに
芽生えたものを ふわり感じて


いつからだろう こんなにも
移ろいやすくて
待ち遠しさに胸を焦がして

   グループ"64kbのソネット"
   Point(20)