偏食 番外編/落合朱美
 

私の三匹の獏たちはすくすくと育って
立派な大人の獏になった
偏食も直って夢をバクバク食べるようになり
(三匹めの小さな獏はおバケの夢だけ苦手だったけど)
やがて彼らは巣立って行った

いきなり独りぼっちに戻った私は
ひとりの部屋に帰る気にはなれなくて
繁華街をぷらぷら歩いているうちに

また拾ってしまった

線の細い長い指先と夢見がちな瞳
芸術家タイプの男に私は弱い
おまけにキスがとっても巧かったので。


男は獏なんか問題にならないほどの偏食だった
脂身の少ない鶏肉と淡色の数種の野菜しか
受け付けないくせに味付けにはうるさい

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