ピアニスト/たもつ
 

君には訓練が必要だ
高らかな産声で自らの生を宣誓し
誰にも教わることなく
呼吸し始めたようには簡単にいかない
今、君の身体は音楽に満ち
穴という穴から溢れ出そうとしている
それらを十本の指からこの世に解き放つ術を
未だ知らない
けれど忘れてはいけない
君よ、そのように直立しているのは
訓練の賜物ではなかったのか
鍵盤を一つ鳴らしばつが悪そうに立ち去った
その歩行も



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