晩夏断片/塔野夏子
 
見上げる額に北十字星から血が滴ってくる真夜中

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少年をひとり折りたたんでポケットに入れておく

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君がいくつもの遊星でお手玉をするから僕は眠れない

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午後の虚無の中心へと正確に雨が降る

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何度脱皮しても消えないカムパネルラの輪郭幻影

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街はずれの店で詩人が量り売りされている

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きららかな憂鬱と幽かな劣情との妙なるダンス

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百日紅の逆光は君の肌に一番似合う刺青

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夏にしかない遠さ(何処へ――)がしずかに息絶えてゆく



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