ある帰郷(マリーノ超特急)/角田寿星
焼き払われて
焦土と化した故郷の村に還ってきた
いちめんの砂地に転がる骨のオブジェたち
あたしの家のあった場所に
炊煙があがったような気がして
駆けよってみると
テントのまぼろしのかたわらに
少し大人になった
幼馴染みのサリのまぼろしが腰かけていて
もうすぐ帰ってくると思ってたんだ
まぶしい笑顔のまぼろしで
あたしを見上げる
父さんも母さんも泥棒だったことは
幼いあたしでも充分に理解していた
サリの母さんも女手ひとつの泥棒稼業で
あたしの故郷の村の住人は
ひとり残らず泥棒だった
パン屋のふりをした偽銭造りと
農場を装った絵画窃盗団を訪ねて
パン
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