いつかまた、会えるから、(マリーノ超特急)/角田寿星
 


「水没した都市」の駅でアクアバイクを借りて
ハシケを曳きながらとろとろと岬沿いを走っていく
俺とあんちゃんは
一宿一飯の恩義で仕事をおおせつかった
沖合に座礁した小船の積荷を採ってきてくれ という
中身は? 本ですじゃ…本?
都市が水没する時に図書館の司書だった爺さんは
小船に蔵書をありったけ載せて避難した
ただ それも
逃げ遅れた人をひとり救いあげる毎に
ひと山何キロで大切な本を惜しげなく海に投げ込んだ という

偉いじゃねえかよ爺さん あんちゃんが感動する
偉い爺さんのためにひと肌ぬがなくっちゃあな
なんのなんの 嘘じゃ といたずらっぽく舌を出す爺さん

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