ノート(空と海)/木立 悟
 





友人の家に行った
友人の家は行くたびに違っていて
今度は旅館だった
居ないはずの息子が玄関に居て
背を向けたまま
こちらを一度も見ることはなかった


誰かが
ひっきりなしに話していた


家の裏は
薄い青緑色の綿に覆われていた
わずかな風に振り向くと
煤けた木の色をした路地が
空と海までつづいていた














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