ノート(たなびく日)/木立 悟
灰色の空の下
灰色の占い師たちが
灰色の広場に集まっていた
占いの順番を待つ行列を
灰色の煙がすぎていった
螺子を横に倒したかたちの
巨大な灰色の建物を
人々はまばらに出入りしていた
さまざまな色にまたたく
小さな光の玉を追って
子らは広場を駆けまわっていた
玉は常に 煙に覆われていた
煙に触れると少しだけ痺れ
玉は手と磁石の同極のように反発し
前へ前へと逃げていった
止むことなく風が吹いていた
広場の石はどこまでも磨かれ
空の灰を
風の音を映していた
何処かへ飛び去る鳥の腹を
光の玉が時おり照らした
占いを待つ人々の服は
どれもみな煙のようにたなびいていた
煙はさらにさらに濃くなり
占い師と人々を取り囲み
子らは光の玉を追い
灰の広場を駆けつづけた
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