ムルチ(怪獣詩集:帰ってきたウルトラマン)/角田寿星
 
アナタハ ダレデスカ

身寄りも帰る場所もなく来る日も河川敷を掘じくる佐久間少年ですか
地球の汚染大気に蝕まれ余命いくばくもないメイツ星人ですか
ふたりきり
河川敷の工場跡で
下水道に住む食虫動物のように
体を寄せあい
日々の食を求め
地中に隠された円盤を探し
メイツ星に還る日を夢みて
ひっそりと
誰にも知られずに生きていたかった

アナタハ ダレデスカ

商店街のシャッターは閉まってなかった
家々の窓は開け放たれていた
朝には子どもの挨拶がひびき
陽が傾くと夕餉を呼ぶ母親の声がきこえた
おつゆが さめるわよう
昭和40年の貧乏ったらしい東京で
煤煙と排
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