アントラー(ウルトラマン)/角田寿星
 
は持たなかった。思念はまるで通じず
言葉は互いに雑音でしかなく身振り手振りさえも彼の恐慌を
徒に煽るばかりだった。

姿を消した先住民の次にやって来たのは軍隊だった。先触れもなく
降り注いだ矢の雨に私たちの仲間は斃れ または抵抗する暇もなく
残酷に槍で刺され剣で頸を切られた。録音した先住民の言葉を元に
アントルの製作した翻訳機からは
“神の御名のもとに 冥府の化けものどもを皆殺しにせよ”
と 私たちにとって意味不明の音声が幾度も繰り返された。


逃げ惑う人々の間を縫ってアントルは
バラージの尖塔に駆け上り 青石に何かの装置を挿し込み
両手で高く天に掲げると
アントル
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