ゴモラ(怪獣詩集)/角田寿星
 
立ちつくしていた。

昨日 たしかにここで
ウルトラマンとゴモラが死闘を繰りひろげたはずなんだ。
ゴモラといえば尻尾。
その太くて長い尻尾がしなって
ウルトラマンを打ちつける。
そう ウルトラマンは手も足も出なかったんだ。
強いぞゴモラ。
その時 ゴモラの尻尾で大阪城も
メタメタに壊されたはずなんだ。

でも目の前の風景は何も変っちゃいない。
いつもの雀がチリチリなく公園に
いつもの大阪城がいた。

「絶対来たはずや。聞きにいこう」と ぼくらは
公園を ほうきで掃除してた
おじさんに訊いた。
「おっちゃん おっちゃん
 昨日ここでウルトラマンとゴモラが来て
 大阪城 壊したんじゃないの」

おじさんは 深いシワを
日焼けした頬につくって言った。
「そやそや 実はな 大阪城
 昨日おっちゃん達が徹夜で直したんや」

ぼくらはすっかり納得して家路についた。
来週のウルトラマン ゴモラの後編がどうなるか
大声で話しながら。

もうすぐ夕ごはんだ。

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