安らぎの坂道/陽向(2躯-30〜35)
 
挙動不審でも怯えていたわけでもない
ただ少しだけ、自分自身から離脱したような感覚があっただけだ

道を歩いていたら、おばさんに声をかけられた、どこの方?
僕は、なぜ、人に声をかけられると、妙に大人しいふりをするのだろう
あの数日前には、自分の部屋で、歌いまくってはいなかったか?
なぜ、そのはしゃいでる自分を他人には見せないのだろう
僕は、おばさんに何かを言った、自分でも分からなかった
そうですか、とかなんとか言っておばさんはどっかに行った

その余韻で、なんか妙に、心は安らいでいた
愛されたわけでもない、ただの他人とほんの少し話しただけだ
坂道を登りきると、もうその安らぎは消えていた
   グループ"お真面目の詩集"
   Point(8)