メモ(東北)/はるな
に汗をじとっと浮かばせて寝ているから。
四十九日もすまないうちに、今度は夫の父親が亡くなった。癌になって三年目で、年明けから弱っていて、自分の母親の葬儀にも出られなかった。電球がちかちか点滅するように、息を吸ったり入ったりする感覚がだんだんにながくなって、そうして死んだ。その三日前に夫の運転で見舞った病室で、細くなったその人をみて、夫の祖父(つまり夫の父の、父親)は「がっちりした人だったけどもなあ」と言っていた。息をすう度に持ち上がる胸はうすくて、でもきちんと吐き出すのがおどろきだった。死が病室のどこにもうすく存在していた。生きていることと死んでいることが混ざり合っているのだった。痛みのためか、ときどき上に持ち上がる手は肉が落ち、指が長くみえすぎて骨を思わせた。春分の日で、東京の晴れを逆さにして振り回したような天気の東北、こまかい雹がふっていた。
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